こんにちは、パンダラヴァーです。今回はインサイダーゲームにおける質問の分析、考察記事です。第一回目ということでゲーム開始直後の一番目の質問で使われることの多い「質量はありますか?」という質問について解説していきます。それでは、どうぞ!
質量はありますか? という質問の性質
「質量はありますか?」という質問はインサイダーゲームにおける質問分類において分割型と呼ばれるものの一つです。このタイプの質問は基本的に綺麗な切り分けが可能で無駄質問になりにくい、初心者でも上級者でも安定して使えるところが魅力です。
どういうことか、簡単に説明すると質量がある、ないという事象は両立することができません。なので、はいかいいえの回答が得られた時点で明確にどちらかに確定できる、ということです。
質量はありますか? という質問の成り立ち
続いてこの質問の成り立ちから、どのような価値を持った質問なのか考えていきます。というのも、やっぱり「質量」という単語は普段聞き慣れないですよね? 私の場合、インサイダーゲームを初めて遊ぶような方の前でいきなり耳馴染みのないワードの質問をすると閉鎖的コミュニティのイメージや難解で取っ付きにくい感覚を持たれたり、マイナスな印象になるので「重さはありますか?」や「目に見えますか?」などの質問に置き換えて聞くことが多いです。ではなぜこの二つの質問ではなく、「質量はありますか?」という言い方が定石として受け入れられているのでしょう。
それはこの質問をする人の目的から逆算して考えるとわかりやすいです。ゲームが始まって最初の質問でこの質問を出す場合、求められる目的とは「お題が物質的であるかどうか」の切り分けです。つまりそれがリンゴとか猫のように存在しているのか、それともクリスマスやくしゃみなど形を伴っていないものか、ということを判別したい、ということです。
この目的を果たすためには、たとえば「目に見えますか?」という質問では不十分です。空気やガスなど気体として存在しているものは目には見えなくても物質として明確に存在しているからです。「形はありますか?」でも同様ですね。こちらは水などの液体のように不定形なものもいいえになってしまいます。また、「重さはありますか?」という質問では気体はもちろんのこと、GMの感覚としてごくごく軽いもの(ティッシュやシャボン玉など)はいいえになる可能性も十分にあります。この「はいかいいえになるかわからないものが多数ある」という状態はお題当てパートにおいて最も避けたい事態です。つまり、こうした目的を果たすという経緯があって中学生程度の知識でも理解可能でより言葉として切り分けが正確な「質量」という言い方が市民権を得たというわけです。
ちなみに、「概念ですか?」という質問もたまに見受けられます(QuizKnockさんがインサイダーゲームをプレイしている動画でも出ていました!)。これも質問者の意図としては形がないものかどうかを聞いていると考えて良いと思います。しかし概念という言葉自体の定義が非常に難しく、正確な意味は別として人によって適用する範囲が異なってしまいます。こうなると得られたGMの回答がどの枠組みで答えたものかわからない以上正確な切り分けになりにくい質問です。
質量はありますか? という質問の欠点
使い勝手の良い分割型の質問である「質量はありますか?」にも考慮すべき欠点はあります。
GMがはいかいいえか判断しにくいものもないわけではない
前の項でこの質問は切り分けが正確にできる、と書きましたがこの世界には無数の言葉がありますのでもちろんGMの判断が曖昧になるものもあります。
例えば「横断歩道」はどうでしょうか。歩行者が車道を横断するために設けられた道路の一部分、と考えれば「質量はある」になりますし、車道の中で歩行者が横断する部分を指し示した意匠(デザイン)と考えれば「質量はない」になります。さらに横断歩道を白い塗料だと認識している人がいれば「質量はある」になるかもしれません。このように完全に切り分けができる分割型の質問でも、お題によってはどちらともとれる、という状況になってしまうこともあります。
ただし、この欠点は「質量はありますか?」という質問が初手で出されることが多いことと人間がGMを担当して受け答えする、という点で高い確率で解消されうるものだと思います。つまり「どちらとも取れる可能性のあるお題」の場合、GMははいかいいえを答える際に言い澱んだり、答える声に自信が無くなったりします。回答の単純な結果だけではなくそういった非言語要素からも、お題のヒントを類推することができますので、「どちらとも取れるようなお題なのかもな、GMがそう思ってしまうようなものって何があるだろう」とある程度のイメージを持った状態で臨むことができます。このように考えれば、どちらの返答があったにしろヒントは落ちるわけですから、この質問の有意性は高いと言って良いと思います。
まとめ
今回はインサイダーゲームの質問の分析ということで「質量はありますか?」という質問について解説していきました。一つの質問を深掘りして考察していくことは、プレイングに大きな影響を与える訳ではありませんが有効性を綿密に精査していくことは上手になるために有意義なことだと思います。というより、ただインサイダーゲーム沼にどっぷりとハマってしまった私がゲームの細部に思考を巡らせるのが楽しくてやっているだけですが……。良ければまたお付き合いください。
それでは、また!