こんにちは、パンダラヴァーです。
今回はお題当てゲームの魅力について、ちょっと違った角度から話してみようかなと思います。タイトルでほとんど言いたいことを言ってしまっているのでこの後の記事に興味を持ってもらえるのか些か不安ですが、もし良ければ最後までお付き合いください。
突然ですが、皆さん推理小説はお好きですか?
私は大好きです。子どもの頃からシャーロック・ホームズ、エルキュール・ポアロ、ファイロ・ヴァンス、御手洗潔、金田一一、フィリップ・マーロウ、古畑任三郎、江戸川コナンなど世界中の名探偵に憧れてきました。名探偵と言えば犯人の用意した複雑怪奇なトリックを解明し、犯罪を暴き出すシーンこそもちろん白眉ですが、実は私はそれと同じくらい序章における何気ない日常の場面で推理力を発揮して初対面の人の職業を当てたり、出身地を見抜いたりするシーンもたまらなく好きです。それこそシャーロック・ホームズが「緋色の研究」でワトソンに対して披露した場面が最も有名ですよね。小説や漫画に軽いタッチを持ち込みたい場合は意図的にその推理を少しズラしたりしてコメディリリーフとして活用されることも多いです。
第27回鮎川哲也賞を受賞した「屍人荘の殺人」(今村昌弘、東京創元社、2017年)では、冒頭にこれを活用したとても面白いシークエンスがありますのでここで紹介します。
この小説は、本格推理小説でありながら斬新な設定の妙で高く評価され、神木隆之介さん、浜辺美波さん主演で映画化もされていますのでご存知の方も多いのではないでしょうか。
「カレーうどんは、本格推理ではありません」
今村雅弘、『屍人荘の殺人』、東京創元社、2017年
というややギョっと興味を引く一文がプロローグの後、第一章の書き出しに置かれています。
そして
(中略)
今村雅弘、『屍人荘の殺人』、東京創元社、2017年
俺は腕組みをしたまま顎をしゃくり、一人の女子学生に視線を戻した。
女子学生が持つ水色のトレーにはまだなにも載っていない。そして先ほどから目の前の『麺類』の品書きをじっと見つめ、思案するように佇んでいる。なにかを注文しようとしているのは明白だった。
俺たちはそれを十メートルほど離れたテーブルから眺めている。
と続くのですが、つまり登場人物の2人は遠巻きに女子学生を眺めながら名探偵よろしくこれから頼むランチのメニューを推理しているのです。このシーンを初めて読んだ時、私は「うわ、わかる〜」とにやにやが止まりませんでした。ミステリー小説を読み漁り、どんなに名探偵に憧れてみても現実には推理力の必要な大事件に出会すようなことはまずありません。だからこそ我々名探偵ワナビーは日常の中で無理やり推理の矛先を見つけ出し、要素を拾い、得意げに披露して盛大に間違えてしまうのです。
ここでようやく本題に戻るのですが、私は毎日のようにインサイダーゲーム、お題当てゲームをやっていてある日ふと思いました。
あれ、もしかして「屍人荘の殺人」に出てくるような何でもかんでも推理をしたがる本格推理小説好きの人たちにとってお題当てゲームとは最も魅力的なコンテンツに成り得るのではないか? と。
というのもお題当てゲームにおいて、飛躍的発想でお題を当てる瞬間、というのは客観的にみると極めて名探偵然とした様子なんですよね。なおかつ答えた瞬間に生じるドーパミンやβエンドルフィンといった脳内物質による快感の嵐。これは叙述トリックもののラストで見事騙された時のような快感を味わえます。それも数十分のゲームで。
ここまで聞いてしまうと推理小説好きのあなたはもうお題当てゲームをやるしかないのではないでしょうか。
適当な冒頭から始めましたが、このウェブサイトの一番の目的、お題当てゲームを世界中の人に遊んでもらう、という部分に何とか着地をすることができました。私も早く皆さんとインサイダーゲーム、お題当てゲームで遊びたいです。お題クリエイターとして良質なお題を用意してお待ちしています。
それでは、また!
ちなみに私は続編の魔眼の匣の殺人の方が好き。